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vol.048 長崎に「カナディアン・レイクサイドパーク」が出現?

「池田さんが持っていらっしゃる白いシーカヤックを、町はずれの湖に置かせてもらえませんかね?」 と、町のリーダーの方から依頼がありました。「そんな場所がどこにあるんですか?」 思わず聞き返してしまいました。 “町はずれの湖” なんて、25年もこの町に住んでいて一度も聞いたことがありません。 「それにカヤックを置くといっても、何のために? それに、誰が管理するんです?」 次から次へと疑問が湧いてきます。


「いや、その湖を活用して、カヌーやカヤックで遊べる場所をつくろうという企画がいま持ち上がっているんですよ」 と、リーダーはいいます。 とにかく、一度その湖を見てみようということになり、私とリーダーは、町の人もあまり知らない集落へと出かけました。


行って、びっくり。 目の前に、まるでカナダのレイクサイドのような風景が広がっているではありませんか。


その場所で待っていたのは、ドラマ 『北の国から』 に出てくるゴローさんにそっくりな中年男性。この風景に魅せられて、長崎の町中からこの湖の岸に移り住み、こつこつと湖の環境保護や環境整備を手がけているというのです。 さらに、地域の人たちと協力し、自分の住んでいる湖の周辺に、サクラを植え、周遊道路を造り、手作りのテーマパークをつくる活動を4年がかりで取り組んでいるとか。


その “ゴローさん” の話を聞いているうちに、湖の風景がますます雄大なカナダの景色に近づいてくるではありませんか。


なるほど。この “カナディアンロケーション” を生かして、私も何か企画してみるか。 次第にそんな気分が高まってきました。 そして、町のリーダーが、「ここにシーカヤックを置いてみませんか?」 と提案した意図もよく飲み込めてきました。


ただ、私のみる限り、この湖にはシーカヤックよりも、カナディアンカヌーの方が合いそう。頭の中には、もうカヌーを持っている人たちの顔が何人も浮かんでいます。


さっそく私は町に戻り、“カヌー集め” に奔走しました。 こうして、次にその湖に行ったときは、ラーメン屋さんの赤いカヌー、お医者さんのグリーンのカヌー、そして私の赤いカヌーが勢揃い。 あっという間に、カナディアン・レイクサイドの風景ができあがり。


話はさらに弾み、「ここにツリーハウスを作ろう」 という計画も浮かび上がり、4ヶ月かかって、ついにその一棟が完成しました。 ツリーハウスはまだまだ増えそうです。 最初の一棟を見た地元の町の材木屋さんが興味を持ち、次の一棟にとりかかるときは、材料を提供すると申し出てくれたからです。 それを聞いた “ゴロー” さん。さっそく、もう少し大型のハウスにチャレンジすると張り切っています

いや、ほんと。 自然の中でおじさんたちが集まると、最後は遊び場所づくりの企画で必ず盛り上がるものなんですね。年齢がどんどん逆行して、まるで少年に戻っていくような感じです。 自然の中では、「男は少年に還る」。 これは、われわれぐらいの年齢を迎えた男の鉄則なのかもしれません。


しかし、女性はこれとは逆のようです。 どちらかというと、私たちと同じくらいの年齢の女性たちは、ますます“分別くさくなり”、オバサン化を極めていきます。


現に、この計画をカミさんに打ち明けたところ、とたんに、 「周りの人々に、少しでも迷惑をかけてはダメ」 「自分たちのすることは、できるだけ自分たちでお金を集めなくてはダメ」 「自分たちばかりが元気になるのではなく、町そのものが元気になるように持っていかないとダメ」 と、たちまち忠告の山。


う~ん…… 「男はいくつになっても、夢見るいたずら坊主」 それとは逆に、


「女は、年をとればとるほどに、うるわしの乙女から現実的なオバサンに」。


また、この企画について、地元の住民の少数の方のなかには、こういう発言をする人もいました。 「弁当や空き缶をポイポイ投げ捨てる」 つまり、カヌー乗り場として開放などしたら、水質資源の汚染の元になるだけ…というわけです。


ま、それも一理。 ただ、マリンスポーツの担当者の話では、ゴミを捨てたりして自然破壊に加担してしまう人は、どちらかというとエンジン付きのボートなどに乗る人たちで、カヌーイストには皆無。 カヌーイストの大半は自然派志向で、彼らが湖で遊んだ後は、その前よりももっときれいになっているとのこと。 オジサン方とオバサン方と、地元の人たちの話し合いは、まだしばらくは続きそうです。


しかし、そういう議論が起こること自体が、もう 「地域活性化」 の始まりなんですね。 私たちの町は、人口わずか9,000人。 そんなちっぽけな町でも、(気持ちの上では) ディズニーランドやハウステンボスにも負けない (…規模じゃありませんよ!) テーマパークづくりの構想を語り合うことで、人々の気持ちが沸騰しているわけですから。


すごいな、私たちの 「ネバーランド」。 あのマイケル・ジャクソンがカリフォルニアに建てた夢の遊園地 「ネバーランド」。 それが 「カナディアン・レイクサイドパーク」 というコンセプトで、少しずつ形になってきています。


こういうことを考えるのが、男にとっては 「元気のもと」。 私も頑張らなくては。 おっと、マイケルは志し半ばでダウンしてしまいましたね。 おじさんたちも、健康に注意しましょう。


【 町田の感想 】■


「男はいくつになっても、夢見るいたずら坊主」 「女は、年をとればとるほどに、現実的なオバサンに」。 まさにこの世は、この池田さんのご指摘のとおりに動いているのかもしれません。


オジサンだけの社会では、夢が暴走してしまって取り返しのつかないことに。 そこにブレーキを掛けるのがオバサンの役目。 そして、夢のない味気ない世界になりそうになったら、また、オジサンさんたちが集まって、“夢の列車” をレールの上に載せる。 世の中は、そういう形で豊かになっていったのかもしれませんね。


それにしても、少年のユートピアを 「ネバーランド」 とはよくいったもの。 「どこにもない土地」。 だからこそ、少年にとっては未来に実現するかもしれないユートピアであり、オジサンたちにとっては、過去のどこかに置き忘れてきた幻の土地。 「どこにもない土地」 だからこそ、どんな夢をも盛り込むことができる “魂の楽園”。


この池田さんたちが企画している “ネバーランド” は、幸いなことにインターからわず15分ほどだとか。 かつてないアウトドア施設だけに、長崎のレイクサイドに生まれるつつある 「ネバーランド」 が楽しみです。

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